『水語り (文:阿久津美穂)』(2006年09月27日)
Creation Story〜世の中ができるまで〜
昔、世界は暗黒の、無の世界だった。
その中に命が生まれた。
母なる大地の神PAPATUANUKU。
父なる空の神RANGINUI。
2人は恋に落ち、多くの子供が生まれた。
その時、世界はまだ暗黒だった。
それはPAPATUANUKUとRANGINUIはお互いを深く愛しており、片時も離れなかったから。
子供達は話し合った。
「このままでは世界は暗黒のままだ。父と母を引き離さなければ、光は入らない」
そして、あの手、この手を使って2人を引き離そうとした。最後に子供の1人である森の神Tanemahutaが出てきて、ついに2人を無理やり離れ離れにした。
光が入った。
大地と空ができ、花が咲き、森は繁り、悲しむ父RANGINUIの涙によって、川、海ができ、たくさんの生命が生まれ、今の世界ができた。
しかし母なる大地PAPATUANUKUと父なる空RANGINUIは離れ離れになった悲しみを抑えられず、今も涙を流し続けている。大地から湧き出す朝霧と、空から落ちる雨という形で。
アオテアロア(ニュージーランド)の先住民族マオリの口承文学の一つ。彼らにとっての水とは「自分たちの先祖である神々の悲しみの涙」という特別な意味を持つ存在なんだということです。
しかし涙を流すのは“父”である空の神で、それを受け止めるのが大地の神“母”。男が涙を流し、女がそれを受け止める。今も昔も?そんな世の中なのかしら???